出光佐三の半生の映画化「海賊と呼ばれた男」 No645
2016年 12月 24日
この夏に百田尚樹の講談社の文庫本2冊の読み応えがある「海賊と呼ばれた男」を読み終えました。このドキュメンタリーの主人公の出光佐三が1代で築いた出光アポロ石油の苦難の歴史と、社員を一切解雇しないという店主(社長)の信念を貫いた会社の経営の物語でした。
先ず、海賊と呼ばれた男とは、戦前門司で関門海峡で石油の販売を、小船に石油を缶で積み、航路を通る船舶に販売していた行為を見て、あたかも海賊のようなやり方だと評されたのが元になっています。
敗戦後、東京の本社ビルは焼け残りますが、そこに海外へ出ていた社員が沢山帰国してきます。その時に店主(社長)は全員を受け入れ、石油販売業の本来の仕事が無かった折に、GHQ後援のラジオ修理業を興して社員の仕事を確保します。また、一方では戦後海軍の石油タンクに僅かに残っていたタンクの底の石油を人力による汲み出す仕事を請け負い、苦難の石油関連の仕事を見つけました。
その後強大な国際石油会社に対抗して、イランが英国より独立し、イランの石油を英国が輸出するのを封鎖する中を、自社のタンカー日章丸を派遣して買い付け、英国海軍の封鎖の中をマラッカ海峡を通らずに、危険性の高いインドネシアのスンダ海峡を経て、日本へ安い石油を大量に輸入したのです。
現在、昭和石油と出光興産の合併の問題が進行していますが、出光家側が合併に反対を唱えているのは、やはり国際石油に組み込まれないように、日本の民族資本を貫きたいとの思いが見られます。
この映画が封切られて5日後の12月15日に私はこの映画を見て来ました。岡田准一の主演は好ましいもので、映画の一箇所のフィクションが気になりましたが、かなり完成度の高い良い映画でした。出来れば本を読んでから、映画を鑑賞することをお勧めします。