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山歩きとそこで出会う花たちへの思い


by minoru_mogi
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山の颱風   (No31)

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              「蓮華岳山頂からの朝の槍・穂高
今年の夏は友人と八ヶ岳登山を計画していたが、2度とも台風が来て中止せざるを得ず、何とも消化不良の夏であった。そして他の友人から送られてきた素晴らしい山の姿に慰められている。 山での台風の思い出は何度かあるが、テントでの幕営の時は大変つらい思いをしたものである。
日光の女峰山を目指したその時は、台風が日本の南方にあって日本列島に向かっているとラジオが報じていたのは知っていた。日光の駅を降りて歩き、霧降の滝を見ているとき、ポツリポツリと大粒の雨粒が落ちてきた。しかし、雲は早いが、まだ雲は厚くなく明るさも心配ない状態である。登山道を登り沢が近くにある傾斜地に早々とテントを張り、雨に備えて溝も深めに掘った。
その頃から南風が出てきて、雨もかなり降り始めた。炊事の焚き火は針葉樹の枯れ枝なので、少しくらいの雨では消えることなく、飯盒のご飯は炊き上がった。
夕方になると雨風は更に強くなり、テントの外には出られる状態ではない。テントの中で夕食を済ませた頃より、風がビュウビュウとうなり出し、雨はフライシートのないテントの布から水がポタリ、ポタリと滲み落ちる。近くの沢がゴウゴウとわめき出した。夜が進むにつれて風雨は更に強さを増してきた。
その時、「バシッ」と音がしてテントの支持ロープが切れたことが分かった。2人が慌てて雨の外に出てロープを繋ぎ直す。昼の設営の時には強風を考えてペグは深く打ち込み、その上には大きな石を置いていた。皆で荒天の中ランタンを点けて事態に備えていたが、ロープの切れる音を聞くたびに、交代でびしょぬれになり結び直してくる。その様な事が何度かあったが、寝ない訳にもゆかない。そこで、煽られそうなテントの支柱2本を、1本づつ2人で支え、他の3人は寝て、1時間交代で替わることにした。夜が明けるまでに5・6本のロープが切れていた。
翌朝目が覚めると、グランドシーツ片端には水が溜まり、シュラフもひどく濡れてしまっていた。風はほぼ治まり青空も覗き出した。さて、何か食べねばと、昨日炊いた飯盒を開けると、ご飯が少し糸を引く。台風の熱い気温で腐り始めたようである。しかし、他に加工しないで食べられるものは生卵数個しかない。ままよ、とばかり、その糸を引くご飯に卵を入れて皆で食べた。幸いにも誰も腹も下さず、食あたりもなかった。
早々に引き返すべく、濡れたテントを畳むが実に重い。下山の山道は小さな沢と化しており、水深20センチ以上もありザーザーと流れている。一年前に注文で作った登山靴も、その水の中を歩かざるを得なかった。日光駅に戻り、駅前で食べたラーメンの何と美味であったことか。お蔭で、登山靴は鉄のムガーやクリンカーの鋲が腐り、半年後には鋲が抜けてしまい、オジャンになった。これには大変ガッカリしたものである。
トップの写真は白井氏が撮って送ってくれた、「蓮華岳山頂からの朝の槍・穂高」である。
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by minoru_mogi | 2005-09-19 09:51 | 随想 | Trackback | Comments(0)