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山歩きとそこで出会う花たちへの思い


by minoru_mogi
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大きく化けた学長のガウン No358

 高田馬場駅近くに大学予備校としては名のある学校が有った。その予備校が昭和40年に大学を設立した。私のいた百貨店に銀行から来た常務がおり、その子息がその大学の事務長であった関係で、その学校の制服を受注することになった。商学部の単科大学であり、学生数は300名位と記憶している。校舎は西武線のかなりの郊外にあった。
制服は全員を採寸して背広と同じ仕立てをして、デザインを決めてもらい紺の上着とライトグレイのズボンとなり、往時としてはしゃれたものであった、学校制服はまだ一般化されていなかった時代である。学生さんの洋服なので価格は割安で見積もりを提出しOKがでた。
しかし、そこで10%のキックバック(コミッション)を要求された。10%は大きく普通は5%くらいである。
 その大学から今度は学長が着用するガウンの注文がきた。しかし、シルクで作る本物のガウンを作れる技術者は少なく、またその知識を有する技術者はあまりいないので、神田の有名なガウンの職人にお願いした。
ガウンの本当の名称は「アカデミックドレス」と言い、四角のつばの無い帽子にタッセルの付いた物との一対である。今でもこれを着用する大学は少なく、東大・東工大・大阪大・千葉大・昭和女子大・聖学院大くらいである。その価格は背広の3倍位であった。
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ガウンの裏地の色は学部により決まっているので、学長は何博士ですかと聞いた。ところが事務長ははっきりしない。やっと決まったとのことで紫色となつた。その色は法学博士の色である。
これらの色は「哲学」・「経済学」・「医学」・「工学」・「法学」・「科学人文学」それぞれに・ダークブルー・ブラウン・グリーン・オレンジ・ムラサキ・イエロー等と決まっている。
 納品を済まして直ぐ3月に大学の初めての入学式があった。先方からの要請で入学式の日に、学長にガウンを正しく装着するお手伝いを頼まれて出掛けた。
入学式が始まり学長が壇上に現れた。その時進行の司会者が言った。「学長がアメリカの○○○○大学から授与されたガウンを着用して登場です」。「エッ」と私は声を発しそうになった。
まさか大学でこの様な事が罷り通っているとは想像出来なかった。予備校のオーナーで学長になった方は一橋大学出は確かであったが、博士号は無かったのである。
仕事の上での面白いエピソードである。
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by minoru_mogi | 2011-11-02 15:49 | 随想 | Trackback | Comments(0)