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山歩きとそこで出会う花たちへの思い


by minoru_mogi
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嬉しくもあり,チョット淋しい話  (No12)

久しぶりに百貨店に自分の買い物に電車で出掛けた。昼ごろとて、ゆっくり座って行けると思っていたが、来た電車は満席で立っている人もチラホラ。
仕方なく隅のほうでつり革に手を掛けて、何気なく前に座っている人を見ると女子高校生と目が合った。やや暫くしてその女性が「どうぞ」と席を立って譲ってくれる。
「ありがとう」と言って座ったものの、初めて席を譲られて嬉しいけど尻が落ち着かない。
シルバーシートの前に立った訳でもなく、キャップを被ってスポーティーに装ってはいたが、髪の白さからか、顔の筋肉のたるみ具合からか、それなりに老人と思われたかと推測した。
自分では70才くらいになれば老人と思われても仕方がないだろうと思っていただけに、少し淋しい気もする。
間もなくして、隣の人が降りたので「どうぞ」と言い、彼女がまた隣に座った。一呼吸あって言った。嬉しくもあり,チョット淋しい話  (No12)_d0059661_9493380.jpg「今日は私にとって記念日になりましたよ、初めて席を譲ってもらった日ですからね」と話すと、「いいえ、お年寄りと思って言った訳ではないのです」と釈明する。
これで私は少し気が楽になった。更に話してみると、父親の仕事でロンドンに居たという。多分、そこで身に着けた習慣で席を譲ったのであろう。
「躾」とは漢字でなく日本で作られた造字であるという。身についた美しさとは良く出来た文字である。躾の語源は「仕付く」である。
by minoru_mogi | 2005-06-15 09:46 | 随想 | Trackback | Comments(0)