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山歩きとそこで出会う花たちへの思い


by minoru_mogi
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ご来光のプロローグ   (No16)

山のご来光は、それぞれに素晴らしさを経験されている方が多いと思います。
北岳からのそれも、鳳凰三山の稜線をを目の前に、遠くには富士山の黒いシルエットが浮かびます。(北岳、肩の小屋より地蔵・観音・薬師のシルエットを望む)
ご来光のプロローグ   (No16)_d0059661_20361662.jpg
 北八ヶ岳をピラタスロープウエイの下から、ウエイを利用せずに縞枯山荘から縞枯山を経て、麦草峠から高見石の小屋へ泊まることにしたのは、夏沢峠までの北八ヶ岳縦走の折でした。天候に恵まれ、明日の朝は足元に白駒池が光る壮大なご来光が期待できるとワクワクしながら寝床に就きました。
夜半に目が覚めて時計を見るが、時計の照明が暗くて余り良く見えません。でも、それなりに寝た気がするので夜明けは近いと考え、一人で静かに靴をはき発電式のライトをジイジイと鳴らしながら高見石の大きな岩の上まで登りました。
まだ誰もおらず、天空は漆黒の中に星の天蓋が360度広がります。寒いことを想定してセーターとウインドブレイカーを着ていましたが、それでも寒いくらいでした。
岩の上に寝そべり天空を見ていると星空の中へ吸い込まれてゆくようです。
暫くそのままでると、東の空から少しづつ星の光が弱くなり、漆黒の天空が青みがかつてきます。その変化がゆっくりと進行して星が徐々に消えかけてくると、なんと周りの山の山腹から小鳥の鳴き声が沸きあがってきたのです。その声は周りに溢れて、まるで小鳥のさえずりの合戦です。東の空が赤く燃え出す頃には、意外なことにこの声が静まってしまいました。
いよいよご来光の時間直前となり、20人くらいの人が山頂に集まりました。
東の空から雲海の上に太陽が昇りだし、白駒池が鏡のように光ってみえます。
この1時間はファンタジーに包まれた妖精の支配する時間であり、ご来光の出現は夜明けの劇場のエピローグだったのです。
皆さんにもこの体験をされることをお勧めします。
by minoru_mogi | 2005-07-08 20:42 | 随想 | Trackback | Comments(0)